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保育園の迎えと、買い物を含めた夕食の支度、先生が帰宅するまで咲菜ちゃんの遊び相手となる事。
そして、夜間追加料金が発生する場合として、咲菜ちゃんの入浴と寝かしつけが加えられた。
「あの…私、ペーパードライバーなんで移動は電車か自転車か徒歩になるんですが」
交通費の話に入って直ぐ、私は遠慮がちに彼の話に口を挟んだ。
「ペーパードライバーだったのか…免許が勿体無い。保育園はここから徒歩で5分。大きなスーパーも徒歩で5分。車は無くても何とかなる」
先生は簡単にそう言って、空になった珈琲カップを静かにお皿の上に置いた。
「仕事の方は、迎え7時までに間に合いそうか?」
「はい、それは…大丈夫です。遅くても6時半にはいつも帰宅してますから。時間と内容は分かりましたが…その、咲菜ちゃんの遊び相手となる事に関してですが…」
「…咲菜の成長の事が気になるよな。他の子供と同じように接して行けば良いのか、何をしてあげたら良いのか、果たして自分になついてくれるのか、それが一番心配なんだろ?」
語尾を濁す私の心情を察した彼は、手を差し伸べる様に柔らかな口調で代弁してくれた。
「…はい。普通の子って言い方は良くないんですが、…コ…コウハ?何とか性発達障害とは何ですか?」
「広汎性発達障害。アスペルガー症候群や自閉症を含む、言葉や認知などの色々な面で発達に遅れが見られる障害の分類名だ」
アスペルガー症候群?…名前だけは、テレビか何かで聞いた事がある。
自閉症?…じっとしていられなくって動き回ったり、大きな音が嫌いだったり、人を怖がったり…
――これも、ドキュメンタリー番組か何かで見たことがある。…気がする。
頭の片隅に残っている曖昧な記憶を寄せ集めながら、彼の言葉に首を傾げた。
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