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「いえ…はい。間違って無いです…」…可能であるなら、是非ともそうなりたいです。
戸惑いながらも、調子に乗ってそう答えた。
「麻弥ちゃん、素敵な娘ね。私、とっても気に入ったわっ。正臣には勿体無い。
ねえ、私のお店の専属クラークにならない?病院じゃないけど、面白いと思うわよ」
はいっ?…な、何事!?
突然、奪うようにしてお姉さんに握られた、私の両手。
驚きを露わにして、包み込むようにしてギュッと握られる手に視線を落とす。―――ああ、なんて綺麗な指。なんて華やかで、可愛いネイルアート。
…って、だから!見とれてる場合じゃないんだってばっ!
「お姉さん?何を言ってるんですか!?」
「私ね、フェイシャルエステとネイルのサロンを経営してるの。この名古屋にもサロンをオープンさせる準備をしてて、その仕事もあって主人と一緒に帰国したの。
今スタッフも探してて、ぜひ麻弥ちゃんに事務関係の責任者になって貰いたいわ!」
お姉さんは声を弾ませ、ただでさえ綺麗な瞳をキラキラと輝かせる。
「お姉さんが名古屋にエステサロンを!?…ってそこじゃなくて、無理です!私、これでも一級メディカルクラークなんです!」
「お姉さんだなんて~。杏奈って呼んでっ」
「えっ、そこ?!私の話、聞いてましたぁ!?」
悩ましげな豊満ボディーに覆い被されそうになりながら、驚愕の声を上げる私。
「おい、杏奈。いい加減にしろ。そいつ、俺専属だ」
相変わらずの偉ぶった態度の先生が、低い声を飛ばしてきた。
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