第8話 【正臣の秘密】

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「…さっき言った事。麻弥に、頼みたい事がある」 扉が閉まり、杏奈さん達の気配の消えた部屋に流れる先生の声。 「頼みたい事?」…そう言えば、さっき… 「雇用契約がどうとか…その話ですか?」 一息ついて珈琲を口にする先生の横顔を、ジッと見つめる。 「…麻弥に、あの子の教育係をして貰いたい。教育と言うと堅苦しいが…つまり、あの子の側にいて、世話をして貰いたいんだ」 「はいっ?!ちょっ、…私が、あの子の教育係に!?」 待って、待ってっ!  今、「あの子の側にいて」って言いました? それって、私もここに一緒に住むってこと?! ―――奥さんは?…咲菜ちゃんの母親は、どこにいるの? 予想できる筈も無い出来事の連発。 理解不能。 頭ん中は完全ショート。 冷静沈着な先生の表情を見つめ、私はポカンと口を開けて静止状態になっていた。
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