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「俺をこんなクソ田舎にぶち込みやがって……! 俺がどれだけてめえらのために働いたと思ってやがるっ!」
グラスを壁に投げつけ、椅子を蹴り砕き、魔力の衝撃波で酒樽をズタズタに引き裂く。
しばらくして八つ当たりを終え、冷静さを取り戻したギルバートは言った。
「……まあ仕方ねえ。こうなったら、この状況を逆に利用するだけだ。何せここじゃ、奴らもいない。俺がトップなんだからな」
凄絶な笑みを浮かべて、
「この町は今日から――俺のものだ」
そして、ギルバートの支配が始まった。
回想を伴った夢はそこまで。
目を覚まし、ギルバートが基地の私室から窓を覗くと、もう夜中だった。
昼間に酒を飲んで帰ってきて、そのまま眠りこけてしまったらしい。気に食わないいざこざもあり、飲み過ぎたか。
それでも、魔力で強化した鋭敏な感覚を保ち続け、異常を察知するや否や意識を覚醒させたのは、さすがと言えるだろう。
「――誰だ」
部屋の外の気配――魔力残滓に向けて訊ねる。
気配が濃密な殺気に変化した途端、壁を斬り裂き、青年が部屋に入ってきた。
基地の壁や床は魔力抵抗の高い素材でできている――にも関わらず、紙切れでも斬るようにだ。右手に持つ剣も刃こぼれひとつない。
青年を見て、ギルバートはほんの少し驚いた。
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