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ぷくーっ、と少女は頬を膨らませた。
「私は本気ですよ。ユティス様に性心精意お仕えしたいんです」
「誠心誠意の間違いだろ」
「いいえ、合ってます」
にこりと微笑む。
ユティスは呆れて何も言えない。それ以上は取り合わず、店員に注文をしようとしたとき、観音開きの戸が開いた。
昼間から喧騒に満ちていた店が、一瞬で静まり返る。
来店してきたのは屈強な大柄の男だった。ユティスとは違い、灰色をした本物の軍服を着ている。空想上の鳥を模した軍の意匠が、左胸で異彩を放つ。帝国の魔導軍人だ。
男はずんずんと歩き、カウンター席に巨体を下ろした。男の特等席なのか、そこだけ椅子が大きく、周囲は空いている。
「い、いらっしゃいませ、ギルバート大佐」
「店一番の酒とつまみだ。さっさとしやがれ」
ビクつく店員に乱暴に告げ、懐から葉巻を取り出す。一服しながら、ギルバートは店内を見渡した。
この間、誰一人として口を開く者はいない。誰もがギルバートから視線を逸らし、あるいはうつむいた。あからさまな空気の変化を察し、ユティスも彼らに倣う。
そんな中、空気を読まない者が一名。
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