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「私はもう子どもじゃありません。ユティス様の愛を余すことなく、全身で受け止められます。お望みなら、今晩にでも純潔の花弁を散らす覚悟が――いえ、むしろ散らさせてください! 今晩――いえいえ、今すぐここで! 私なら心配ご無用です。二十四時間受け入れ態勢万全ですし、ユティス様以外の有象無象の環視なんて気にしませんから。さあ、れっつごーとぅえくすたしーです!」
「落ち着け、馬鹿が。足に触るな」
無視し切れず、テーブル下に潜り込んだ少女をあしらう。
そのときには既に、二人を目に留めたギルバートが歩み寄ってきていた。
ユティス以上の長身に体格も相まって、まるで熊のごとき大男。隠す気のない剣呑さを漂わせつつ、厳つい強面で二人を見下ろす。
「僕らに何か?」
「クソやかましいクソガキ共だと思えば、見ない顔だな。……どこから来やがった?」
「名乗るほどではない。しがない旅人だ。連れの妄言が耳障りだったなら――至極同意する。謝ろう」
「がーん! ユティス様、酷い……っ!」
「邪魔をした。行くぞ、アカリ」
ユティスは店を後にしようと、打ちひしがれる少女――アカリの手を取った。
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