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「俺は眼中にないってか……随分お高く留まってやがるな、浮浪のガキ風情が。いいから、黙って俺についてくりゃいいんだよ!」
ギルバートが強引にアカリを引き寄せた――刹那、アカリの瞳に狂気が宿るのをユティスは見逃さない。
「アカリ」
小さく名を呼ぶ。戒めるように。
はっとするアカリ。ユティスと目を合わせて数秒、彼の言わんとすることを悟り、すぐさま実行に移す。
アカリは胸元に手を持っていき、いきなり白衣と襦袢をはだけた。
躊躇なく晒された乙女の上半身に、それまで沈黙していた客たちが一斉にどよめいた。
手にすっぽり収まるくらいの大きさの、極めて形の綺麗な胸。背中から腰にかけての曲線も絶妙。巫女装束の上からではわからなかったが、とても東洋人の少女とは思えないスタイルだ。
その美しさをまるっきり台無しにするおびただしい傷跡の数々が、アカリの肢体には刻まれていた。
肩に火傷、背中に切り傷、乳房に裂傷、腹部に青痣――肉体が原形を保っているのが不思議なほど。あらゆる創傷がフルコンプリートされており、見るに堪えない。
客たちは揃って顔を背けた。何人かは我慢できず、嘔吐してしまう。
一般人よりかは耐性があるものの、さしものギルバート大佐も辟易する。
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