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「なぜ、あんなやり方をした。お前の術なら、もっと上手い方法があっただろう」
「……どさくさに紛れて、ユティス様を誘惑しようかと」
「馬鹿が。子どもじゃないと喚くなら、女の価値を下げるような行いは慎め」
「ユティス様……私をひとりの女として見て……っ!? ついにその気になったんですね!? 私は感激の極みです!」
「違う。落ち着け。そして脱ぐな」
制止も聞かず、アカリがまたもや白日の下に半身を晒す。
張りのあるみずみずしい肌には、傷跡はおろか、染みひとつなかった。常人が嘔吐したほどの凄惨さは影も形もない。
アカリはしなをつくり、上目遣いでユティスに迫った。
「さあ、ユティス様! 共に見事な比翼連理を築きま――」
最後まで言わせない。ホットドッグをアカリの口に突っ込み、無理矢理黙らせる。
ユティスは立ち上がって、
「いつも言っているはずだ。僕とお前は仲間でも、ましてや夫婦でも何でもなく、これから先もその関係は不変。お前がついてくるのは勝手だし、それなら僕はお前を利用するまで――が、僕にも我慢の限界というものはある」
射竦める視線、険しい声音で言い捨てた。脅しではなく、最後通牒のつもりで。
ところが、どうやらアカリは聞いていない。口内のものに夢中だ。
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