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「知ってるから、判らないんじゃない。“男”の真田がどんな顔してるかなんて」
「菜月、まだ男のこと判ってない。女以上に怖いわよ。男って」
「判らなくて結構! 真田以外知りたくもないしっ!」
売り言葉に買い言葉だと、うっすら判っていたけど。
これ以上2人と話していたくなくて、あたしは自分の部屋に閉じこもった。
2人は、真田のことそんなふうに言うけど。
あたしのことを心配して、言いたくないことを言ってるんだってことも、判ってるけど。
あたしにしたら、2人が男性不信的な──そんな面を持ってることの方が驚いた。
ずっと、一緒に大人になってきたんだと思ってたのに。
飛鳥と芹香のことなら、何でも知ってると思ってたのに。
急に、自分を取り巻く世界の何もかもが疑わしく思えてくる。
真田どころか、自分のことまで。
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