第8話

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  「知ってるから、判らないんじゃない。“男”の真田がどんな顔してるかなんて」 「菜月、まだ男のこと判ってない。女以上に怖いわよ。男って」 「判らなくて結構! 真田以外知りたくもないしっ!」  売り言葉に買い言葉だと、うっすら判っていたけど。  これ以上2人と話していたくなくて、あたしは自分の部屋に閉じこもった。  2人は、真田のことそんなふうに言うけど。  あたしのことを心配して、言いたくないことを言ってるんだってことも、判ってるけど。  あたしにしたら、2人が男性不信的な──そんな面を持ってることの方が驚いた。  ずっと、一緒に大人になってきたんだと思ってたのに。  飛鳥と芹香のことなら、何でも知ってると思ってたのに。  急に、自分を取り巻く世界の何もかもが疑わしく思えてくる。  真田どころか、自分のことまで。 .
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