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「あんた、バイなの? それとも本当はストレート?」
終わった後、壮真に後ろから抱かれた体勢のまま、絢人は訊ねた。一瞬の間があり、
「いや、俺はバイセクシャルだよ」という壮真の答えが返った。
「ふ~ん」と絢人は呟いて、
「あ、俺のフェラ気持ちよくなかった?」と訊いてみた。
「気持ちよかった、でもイキそうだったから」
「だから?」絢人は意地悪く問い返す。
「一緒にイけた方がいいだろ?」
「ふ~ん、優しいんだね」
そう言った絢人の嫌味には答えず、壮真は
「なあ、一つお願いしていいか?」と前置きしてから、絢人が何? と尋ねる間もなく
「絢人の尻が見たいんだけど」と言って、絢人を驚かせた。
「はあ?」
「恥ずかしいか?」
「いや、そんなことないけど」
別に裸をみせることに抵抗はない。女でもあるまいし。でも脱がされるのは恥ずかしい。女じゃないんだから。
「じゃあ電気つけるぞ」という声がして壮真の身体が離れ、部屋が明るくなったと思った瞬間、布団が剥ぎ取られた。もともと横向きの体勢で寝ていたから、尻は見えているはずだ。
「肌、白いんだな」壮真が呟くように言った。
「あんたは地黒?」
昔は肌が白いのがコンプレックスだった。でもそういうのを好きな人もいると知ってから、別になんとも思わなくなった。確かに、壮真のようにちょっとだけ浅黒い、筋肉の合う身体になりたいという気持ちもなくはないけれど。
何も答えない壮真に焦れて「あんた、尻フェチなの?」と言って壮真の方を見ようとすると、
「いや」という低い声がして、「そのままこっちを見ずに俯せになってくれ」と言われた。なんなんだ、一体。ああ、男のモノを見たくないのかもしれない。壮真はさっきバイセクシャルだと言っていたが、絢人は壮真はむしろほとんどストレート寄りなのではないか、と思っていた。
言われたとおりに俯せになり、今度は大人しく壮真が何か言い出すのを待った。壮真が身じろぎする気配がしたが、数分ほどしても声は何も聞こえてこない。
「なあ」と声をかけようとすると、「ああ、ありがとう」と我に返ったような壮真の声に遮られ、壮真は「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」と言ってベッドから出て行ってしまった。
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