第7話

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「あんた、バイなの? それとも本当はストレート?」 終わった後、壮真に後ろから抱かれた体勢のまま、絢人は訊ねた。一瞬の間があり、 「いや、俺はバイセクシャルだよ」という壮真の答えが返った。 「ふ~ん」と絢人は呟いて、 「あ、俺のフェラ気持ちよくなかった?」と訊いてみた。 「気持ちよかった、でもイキそうだったから」 「だから?」絢人は意地悪く問い返す。 「一緒にイけた方がいいだろ?」 「ふ~ん、優しいんだね」  そう言った絢人の嫌味には答えず、壮真は 「なあ、一つお願いしていいか?」と前置きしてから、絢人が何? と尋ねる間もなく 「絢人の尻が見たいんだけど」と言って、絢人を驚かせた。 「はあ?」 「恥ずかしいか?」 「いや、そんなことないけど」  別に裸をみせることに抵抗はない。女でもあるまいし。でも脱がされるのは恥ずかしい。女じゃないんだから。 「じゃあ電気つけるぞ」という声がして壮真の身体が離れ、部屋が明るくなったと思った瞬間、布団が剥ぎ取られた。もともと横向きの体勢で寝ていたから、尻は見えているはずだ。   「肌、白いんだな」壮真が呟くように言った。 「あんたは地黒?」  昔は肌が白いのがコンプレックスだった。でもそういうのを好きな人もいると知ってから、別になんとも思わなくなった。確かに、壮真のようにちょっとだけ浅黒い、筋肉の合う身体になりたいという気持ちもなくはないけれど。  何も答えない壮真に焦れて「あんた、尻フェチなの?」と言って壮真の方を見ようとすると、 「いや」という低い声がして、「そのままこっちを見ずに俯せになってくれ」と言われた。なんなんだ、一体。ああ、男のモノを見たくないのかもしれない。壮真はさっきバイセクシャルだと言っていたが、絢人は壮真はむしろほとんどストレート寄りなのではないか、と思っていた。  言われたとおりに俯せになり、今度は大人しく壮真が何か言い出すのを待った。壮真が身じろぎする気配がしたが、数分ほどしても声は何も聞こえてこない。 「なあ」と声をかけようとすると、「ああ、ありがとう」と我に返ったような壮真の声に遮られ、壮真は「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」と言ってベッドから出て行ってしまった。
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