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駐車場はもう薄暗くて、
まるで今の自分の気持ちと同じように思えてくる。
「…葵ぃ」
後ろから、
司の声が聞こえて、
少し怯んでしまいそうになるのを堪(コラ)えて振り返った。
「ゴメン。待たせたよね…」
「アホ。待たせ過ぎじゃって」
そう言ったかと思ったら、司の腕に抱きしめられていた。
「……司、離してっ」
私は司から必死に離れようとするのに、
司の腕は力を強めるだけで離してなんかくれなかった……。
「離したら、葵…逃げるやろ…」
耳元で、司の震えたような切ない声が聞こえてきて…
動けなくなってしまった。
「つかさぁ…なんで、なんで……離して…くれんの…」
「……俺、忘れれんかった。葵のこと…」
「…ひどいことしたのにぃ」
「ほんなヤツが…泣くか。アホう」
「アホ、アホ、いうなぁ…う~…」
「お前がアホちゃうかったら、誰がアホなん?泣くなぁ」
司の腕に抱きしめられて、何時までも子供みたいに泣いてた。
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