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到着したところは、もうほとんど内装が完成している複合商業施設の前。
だが、まだ工事の人がまわりに数人いる。
喜多嶋「みんな、やってるか?」
中へ入っていくと、一斉にみんなが振り向いて……。
監督「おいおい、そんな高いスーツの人間が入ってきていいところじゃないぜ」
と、荒々しく言われた。
岡野(わっ、大丈夫なのかな?)
喜多嶋「ふっ。俺の戦闘服はスーツなんだよ。気にしなくてもスーツの替えくらい、いくらでも持ってる」
監督「はっはっはっは。相変わらず豪快だな。喜多嶋社長!」
いかつい現場監督が、いきなり破顔した。
ついで、他のスタッフも、わらわらと社長のところへ寄ってくる。
男性スタッフ「ここ、見てください。社長の言う通りしたら、おもしろいことになりました」
喜多嶋「ああ、これなら、プロジェクションマッピングにも使えるな」
監督「さすがだな。あんたの大胆さには、こっちも参るよ。うるさいくらいに、現場にくるしよ」
喜多嶋「現場がすべての基本だからな」
ずいぶん打ち解けて話をする様子を、僕はあっけに取られてみていた。
監督だけじゃなくて、ほとんどのスタッフがそばに寄ってくる。
岡野(すごい……社外の人にも、こんなに慕われてて……この人って、やっぱり本物なんだ……)
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