第2話

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岡野(って、オフィスでは、かなり尊敬したのに、どうして家に帰ると、この人ってだらしないんだろう) マンションに帰るなり、ぽいっと脱ぎ捨てたジャケットを拾いながら文句を言う。 もう勤め始めて数日が経っていた??。 岡野「喜多嶋社長、そばに僕がいるんだから、脱いだら投げずに渡してください」 喜多嶋「ん?」 今、気づいたというように顔を向けられる。 喜多嶋「腹が減ったな」 岡野「今、僕の顔を見て条件反射で言ったでしょ、それ」 喜多嶋「いいだろ?どうも、ヒロの料理に胃が飼いならされてるようなんだ。お前、本当に料理がうまいな」 岡野「そ、それは……結構早くから、自炊してたから……」 (両親が早く死んだせいで……) ふっと表情を曇らせると、喜多嶋社長が、ぐしゃぐしゃっと頭を撫でてくる。 岡野「もうっ」 喜多嶋「立派な能力だ。少なくとも、お前の料理を食べるようになってから、俺は体の調子がすこぶるいいぞ」 岡野「ど、どうも……」 喜多嶋「あとは、その小舅のような口うるささが、もう少しおさまるといいがな」 にやっと笑われて、どきっとした。 岡野「嫌いですか?」 恐る恐る聞くと、ふわっと微笑まれる。 喜多嶋「な、わけないだろ?俺に嫌われると思ったのか?」 岡野「だって……」 喜多嶋「たわごとだ。気にするな」 くしゃっと頭を撫でられた。 岡野(もう、すっかり、これが癖になってる…) 喜多嶋「片付けは、前向きに善処する」 岡野(きっと、注意しても変わらないな……いいけど……) すっかり甘やかす気持ちになっている。
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