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第3話
喜多嶋社長と同居する部屋--。
いきなりさらされた、逞しい上半身に、僕は戸惑いばかりだ。
岡野(視線を、どこに向けていいんだか……)
鍛えられた筋肉に目を奪われて、どぎまぎしていると、今度は喜多嶋社長が下も脱ごうとする。
岡野「ちょ、ちょっと待ってください。それは、隠れてやってください」
喜多嶋「なんだ、男同士なんだから別にいいだろう?」
岡野(もう、わざと見せるように胸を張って!?)
「ダメです。さあ、脱衣所に行ってください」
喜多嶋「はい、はい」
叱られた子供のように、すねながら喜多嶋社長が僕の頭にシャツをかぶせた。
ふわっと、いつものオードトワレにタバコの香りが混じった匂い。
それにも、どきっとして、ごまかすために大きめに文句を言う。
岡野「もうっ!」
あわてて、それを顔から取った。
岡野「靴下はボール状にかわいく丸めないでくださいよ。それから、下着だって裏返しにしないで」
喜多嶋「ヒロ」
ひょいっと、喜多嶋社長が顔をだけを脱衣所から出す。
喜多嶋「まるで、世話焼き女房だぞ」
笑いながら言われ、目を丸くした。
岡野「わかってます」
(急激に自分が、所帯じみてきてる気がしてるもん……でも、それも、あんまり嫌じゃないから困るんだ)
「まったく、外では、あんなにバリバリなのに、なんで家では、ああだらしないんだろう?」
ぶつぶつと文句を言いながら、片付けを始める。
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