飛翔の町

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* 走る。人が溢れる町中で桃色の弾丸となりてセリスは疾走する。 セリスはライ、ミナツ、チフユに比べて足が遅い。しかしそれは直線においての話。 この人ごみの中では背が低い方が邪魔されずに済む。細かな方向転換も足が短いセリスの方が有利。 置き引き犯との距離を徐々に詰めていく。そして。 「っらぁ!」 「ぐぁ……!」 細長い何かを持った男の背中に跳び蹴りが炸裂する。置き引き犯はうつぶせに倒れた。 「もう捨てろ!逃げるぞ!」 男の一人が指示を飛ばす。蹴られた男はそのまま盗んだものを落とし更に走る。 セリスは、追わなかった。セリスにとっての目的は盗まれたものだったのだから。 セリスはそれを持って、とりあえず人気のないところまで移動した。 移動したセリスは早速中身の確認に移る。紐をほどき布をひっぺがす。 「やっぱり」 中身を見たセリスの顔が僅かに緩む。その中身は、『ライフル』だった。
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