誇れ、雷鳥

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だからルゥは恐れる。貴族に捨てられることを。従われなくなることは、目的を無くすことと同じだから。 怖い。どうしようもなく怖い。貴族に逆らうなんて考えられない。でも―! 「バド!ごめん!」 ルゥは走り出していた。バドに背中を向けてドグ達が去った方へ走る。 痛い。足の裏に小石が食い込む。血が滲んでいる気さえする。 しかし、ルゥにとってもうそんなことはどうでも良かった。一秒でも早く、数瞬でも早く。 ルゥは視界にドグとフゥを捉えた。別れてから少し時間がたっている。 もう一悶着あったらしいが二人とも素手。武道の心得も無い。既に数人に抑えこまれている。 ドグの前には、剣を持った貴族が怒りに満ちた顔をして立っていた。 あのまま首を落とすつもりなのだろう。ドグは抵抗しているが抜け出せない。ルゥは頭の中が真っ白になった。 「わあぁぁぁぁァァァァ!!!」 渾身のタックルをドグを抑えている兵士にかます。タックルとは言えずただ激突しただけともとれるが。
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