誇れ、雷鳥

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「バ、バドくん?それ弟さんの形見じゃ……」 「すまん、嘘だ。オレに弟なんざいねぇ」 唖然としていた兵士達が正気に戻ったのかバドに向かってくる。 「ドグ、ルゥ、フゥ。オレの後ろに下がってろ。巻き込まれるぞ」 ルゥは急いで下がった。ドグとフゥも同様。 「『風神右腕』」 バドの右腕に旋風が巻き付く。そして、 「『山颪』!」 解き放たれた。形容するならば、前に進んでいく竜巻。地面を抉り取り進むそれは兵士達をいとも容易く呑み込んだ。 「地面が……!」 「その魔法!」 ドグとフゥは驚く。ルゥは声が出なかった。回りで見ていた他の奴隷達もそうだろう。 そんな空気をまるで気にせず飄々とした態度でバドは口を開いた。 「改めて。バドこと、ライヤー・サンダーバード。レジスタンスの一員。『風の異端強者』。ご存知の通り『化け物』だ。よろしくな」 その堂々たる名乗りに、奴隷達は目を離せなかった。
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