誇れ、雷鳥

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* 「やられた……」 ニーナはそう言うしか無かった。奴隷達の反抗。それが全く予想出来なかったわけではない。 ハニバルの作戦は完璧だった。兵の動かし方、心理、タイミング。全てを読み切りレジスタンスを嵌めた。 それを覆したのは、『雷鳥一族』の長、ライ。あれだけカリスマ性のある男が全く悟られずに忍び込んでいた。 ライの登場を機に他の奴隷達も次々に離反。僅かではあるが奴隷制度に疑問を抱いていた下級貴族も名を『サンダーバード』に変えた。 裏を突かれ魔法隊は統率が取れていない。退かせようにも重装兵はそれに向かない。 たった一人。たった一人の介入を許しただけで王国軍はこれ以上ない完全敗北が確定した。 「バァルさん。もう動けますよね?」 「……何とか」 最後尾まで下がっていたカバの『狗族』、バァル。 「総指揮をお願いします。出来るだけ多く撤退させて下さい」 「……ガラン先輩に援軍を送りますよ。あくまでも安全に撤退用ですけど」
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