誇れ、雷鳥

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ライの服が、激しくはためいている。風の力で浮いているのだから当然であるが。 その事実がニーナにある一つの不安を抱かせた。 「これ、撃っても当たるの?」 狙撃というのは天候に大きく左右される。湿度、気圧、そして何よりも『風力』と『風向』。 勿論、ニーナもプロだ。どんな天候であろうが頭の中で緻密な計算をして当てる自信がある。それがあくまでも『自然風』であるならば。 ただでさえ空中の狙撃は難易度が高い。遠近感が狂いやすく、周りに何も無い為視覚による天候計算が出来ない。 ライは見えていない筈なのにトントンと指でこめかみを叩く。それがニーナにはこう聞こえた。 『当てれるもんなら当ててみな』 挑発行為。ニーナは内心イラッとしたが、考えはあくまでも冷静に。 「………無理、だね」 何度も計算を繰り返し出した結論は、『初弾』はまず当たらないということだった。 しかし、『初弾』を外してもその飛び方さえ見れば次は当てれる。
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