誇れ、雷鳥

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問題は次を撃つまでに余裕があるか。撃てば場所は割れてしまう。 『風の異端強者』は空を飛んでいる。それは誰にも邪魔されずに目的地まで一気に飛べるということ。 おそらく、次を撃つ余裕は無い。相手は上空。一度姿を晒せば一人のニーナは逃げ切れないだろう。 接近戦にはそれなりの自信がある。ニーナの速撃ちを防げた人間など今のところ一人しか居ない。 しかし、『異端強者』の力など未知数。確信は出来ない。 最高はライを殺して安全に逃げる。最悪は誰も殺せずライに殺される。 賭けるか?ニーナは一人で居るにも関わらず首を振った。 ニーナには世界最高峰の狙撃手という自覚がある。それを失うことは大きな痛手。ここで賭けるのは蛮勇というもの。 ならば、最善を尽くす。ここでの最善は、敵の足を止め追撃の手を休めること。 ニーナは狙いを変更した。狙うは、ライの遥か後方。『雷鳥一族』の最後尾。 その人間を四人程撃ち殺してニーナは戦場を離脱した。
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