番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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* ドロシーは優秀だった。元来の性格なのか数日で気難しいレリオの心に平然と入り込んでいた。 「いい、レリオくん。サーバットの基本はこれだよ」 今日は動きやすそうな格好をしているドロシー。下もスカートではなくズボンである。 先日と同じように上げられた足はそのまま真っ直ぐドロシーの頭の上まで上がった。I字バランス。 「柔らかさ?」 「半分正解。もう半分はこうすれば分かるかな?」 ドロシーは持ち上げた足を前後左右に動かす。軸足が一歩も動かないまま。 「バランス?」 「正解!」 指を差して微笑むドロシー。 『サーバット』は蹴り技が主体の格闘技。蹴りというのは威力が大きい分リスクを伴う。 かわされた時も受けられた時も足が宙に浮いている為逃げることは叶わない。 その上身体を崩せば相手にとっては大きな好機になる。 よってまずは自分の蹴りに振り回されないバランス感覚、柔軟性が必須となる。 それにこれは過度な訓練ではないので筋肉を作らせない。レリオの成長を阻害しない為のドロシーの配慮でもあった。
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