銃王姫と二丁拳銃

36/59
前へ
/1704ページ
次へ
一度芽生えた疑念は消えない。考えれば考える程ニーナは深みに嵌まる。 「あくまで噂です。信じるかどうかは個人的な問題です。まぁ、火の無いところには煙は立ちませんがね」 テスターは伝票を持ちレジまで持っていく。ニーナのコーヒーはとっくに冷めていた。 それ以降の会話をニーナはよく覚えていない。 テスターが適当に話して、それを上の空で返事をして、いつの間にか政府に引き渡す時間が来てしまった。 「それではまた。お会いすることがあれば」 テスターは紳士的にそう言い残した。ニーナの今日の任務は完了である。 しかし、ニーナは家に帰る気にはなれなかった。家に帰ればリースが居るかもしれない。 今、ニーナにはリースと面と向かって会う覚悟がなかった。 頭の中がぐちゃぐちゃになったような感覚の中、フラフラと歩く。もしこの時襲われたら危なかったかもしれない。 そんな足取りでニーナが向かったのは、馴染みの武器屋だった。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加