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初めから全部見せていれば裏切られたと思って離れていく人間は居なくなる。
そういうところは考えようによっては臆病なのかもしれない。
「何やってんだよ、こんなところで」
「そりゃてめぇが言えるセリフじゃねぇな」
カーシーは視線を下に向ける。レリオから視線を逸らしたかったわけではない。単純に前を向くのが辛かっただけ。
「何でお前は、こんな豪雨の中を傘も差さずに歩いてるんだ?」
天気は大荒れだった。嵐が訪れているようで下着までぐっしょりである。
「さぁな。お前には関係ねーだろ」
「ある。お前はオレのダチ公だからな」
「なった覚えねーよ」
「オレがダチ公と思ってりゃダチ公なんだ」
カーシーはヘルメットをレリオに投げた。
「帰るぞ。ドリーも心配してる」
「帰る?」
レリオは鼻で笑った。
「帰るって、どこにだよ」
「……………」
カーシーは黙った。その反応でレリオは大体の事情は知られていると分かった。
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