番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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生意気で、素直じゃないレリオの本気の言葉。 「で、だ。この前姉ちゃんと別れて家帰ったらよ。母さん、いや、あの女が心底嫌そうな顔して言いやがった。「どちら様ですか?」、ってなぁ!」 「っ………!」 いくら『脳無し』と言われるカーシーでも気付いてしまった。 レリオは、捨てられたのだ。 怒りの感情を全て吐き出しきったのか、レリオは肩を震わせながら片手で目を覆った。 「なぁ、カーシー。魔法って、何だ?」 「…………」 「それが使えないだけで、こんなことになるなんて、神様は残酷だ」 「…………」 「魔法なんて、生まれてこない方が良かった」 「レリオ」 「こんな思いをするくらいなら、オレは生まれてきたく―」 「レリオ!」 言葉の続きは、カーシーが言わせなかった。レリオの幼い肩を掴んで目線を合わせる。 「その言葉の先は、オレに対する侮辱だ!二度と口にすんじゃねぇ!」 今まで聞いたことのない剣幕に、レリオは多少驚いた。
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