46126人が本棚に入れています
本棚に追加
/1704ページ
「何だよ、大声出して。同情でもしてくれんのか?」
「同情はしねぇ。そもそもオレはそんな扱い受けたことねぇから同情出来ねぇ」
「なら、もうオレに構うな」
「嫌だね。オレはお前のダチ公だからな」
「……馬鹿が」
「『脳無し』の異名は伊達じゃねぇ」
レリオの心が、ほんの少しだけ開いた。カーシーの言葉に耳を傾ける。
「過去にお前がどういう扱いを受けてきたのかは分かった。今のお前がどういう思いかも分かった。なら、『これから』のお前はどうしたい?」
「これから?」
「五日も居なかったんだ。憤りの他にも、何か思うことがあったんだろ?それも全部、吐き出してみな」
堂々とした姿に、レリオは初めてカーシーが大人だと感じた。
「……オレにも、よく分かんねぇよ」
だから、レリオは素直に従う。ひねくれた性格が、真っ直ぐに戻っていく。
「死にたくなる思いをしてきた。死にたいとも思った。でも、死ねなかった」
「……何でだ?」
「死のうとする度、姉ちゃんの顔が浮かびやがる」
最初のコメントを投稿しよう!