番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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「何だよ、大声出して。同情でもしてくれんのか?」 「同情はしねぇ。そもそもオレはそんな扱い受けたことねぇから同情出来ねぇ」 「なら、もうオレに構うな」 「嫌だね。オレはお前のダチ公だからな」 「……馬鹿が」 「『脳無し』の異名は伊達じゃねぇ」 レリオの心が、ほんの少しだけ開いた。カーシーの言葉に耳を傾ける。 「過去にお前がどういう扱いを受けてきたのかは分かった。今のお前がどういう思いかも分かった。なら、『これから』のお前はどうしたい?」 「これから?」 「五日も居なかったんだ。憤りの他にも、何か思うことがあったんだろ?それも全部、吐き出してみな」 堂々とした姿に、レリオは初めてカーシーが大人だと感じた。 「……オレにも、よく分かんねぇよ」 だから、レリオは素直に従う。ひねくれた性格が、真っ直ぐに戻っていく。 「死にたくなる思いをしてきた。死にたいとも思った。でも、死ねなかった」 「……何でだ?」 「死のうとする度、姉ちゃんの顔が浮かびやがる」
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