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自分の愛車の見るも無惨な姿にカーシーは絶望していた。
「良かった、レリオくん。元気そうだね」
ドロシーは笑う。作った顔とは違う、純粋な笑顔。
「夏だけど雨に打たれたら風邪ひいちゃう。とりあえずお風呂だね。お姉ちゃんが一緒に入ってあげよっか?」
うりうりとレリオのぐしゃぐしゃの頭をかき回すドロシー。
これだ。レリオはこれに惹かれたのだ。
優しく、厳しく、でも優しい。嘘がない。一生懸命で、疑う余地すらない。
親から見捨てられ、同年代からは虐められた。そんなレリオに、初めて優しくしてくれた女性。
レリオにはまだこの気持ちが何なのか分からない。分からないが、嫌な気持ちでは無かった。
「姉ちゃん……」
ボスン、とレリオは頭を胸に埋める。泣き顔を見られたくなかった。
「……どうしたの?」
優しい声。この声が、レリオにとって一番安心出来る声だった。
「姉ちゃんも、オレの家にいったんだよな?」
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