番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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「……うん」 「オレ、親に捨てられたんだ」 雨音がかしましい。緊張が走る。 「じゃあウチ、来る?」 レリオは驚いて顔を上げる。ドロシーはやはり優しく微笑んでいた。 「今、何つった?」 「わたしの家に来る?って言ったんだよ。わたし一人暮らしだからさ。スペースは余ってるし」 レリオはここで信じられなくなった。無償で大きな優しさをくれることに。 「どうして、こんなオレなんかを……」 「レリオくん、君は強い子だね」 ドロシーは語る。 「何でも一人でやろうとして、勝てない相手にも絶対に立ち向かう。それはレリオくんの強さだよ。でも、君はとても臆病」 「オレが……?」 「何でもかんでも一人でやろうとすることを、人は『勇気』とは呼ばないよ。君はその『勇気』が欠けている。勇気のないライオンさん」 レリオは頭を撫でられながら聞いた。 「人は助け合える。レリオくんはまだ若いんだから、苦しいなら頼っていいんだよ。それが、お姉ちゃんとしてのわたしの義務なんだから」
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