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「貴方様は、決して弱さを見せないのですね」
「…………あ?」
夏休みも終わって新学期が始まる。ドロシーは文化祭や何やらの準備があるらしく最近帰りが遅い。
家の仕事を大方済ませてしまったレリオは着替えていつもの場所でサーバットの練習をしていた。
夏の終わりにようやく蹴りの練習を許して貰えたので素振りならぬ素蹴りをしていた。
蹴りながらバランスをとることは難しい。それを実感している時に突然話しかけられた。
話しかけてきたのはレリオと同年代の幼女。落ち着いた雰囲気というより人形のような無機質な雰囲気。
眉の上で額を隠すように真っ直ぐ切り揃えられた髪は辺りの暗さに同調するように黒い。
同じように黒い双眼がレリオを吸い込むように見つめていた。
レリオはこの幼女を知っている。しかし、話すのは初めてだった。
「リック、だったか?」
「リクです。リク・クガヤマ。呼びにくければリッキーで構いません」
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