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「事情は、全て聞いているのかね?」
「はい」
「聞いて尚、君は自分の責任だと。そう言うのかね?」
「はい」
ドロシーは頭を上げない。伏したまま言葉を返す。
「わたしは、ただの子供の喧嘩だと思うがね」
オーズの予想外の発言にレリオと職員達は驚いた。
「結果的にはわたしの娘が怪我をしたが、先に手を出したのはこちらだ。法で言う『正当防衛』と言うものだ。だから、頭を上げなさい」
「嫌です」
「何故」
「『正当防衛』は攻撃された場合攻撃しても罪にならないという法です。決して攻撃してもいいという法ではありません」
「…………」
「わたしはレリオットに武術を教えています。それは使い方によっては『殺人』が出来る力です。それを『自由』に使ってはならない。それを教えていませんでした。それがわたしの『罪』です。ですから、それを許して貰うまでは頭を上げることは出来ません」
頑として動かないドロシーにオーズは三度溜め息をついた。
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