番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

45/105

46127人が本棚に入れています
本棚に追加
/1704ページ
「事情は、全て聞いているのかね?」 「はい」 「聞いて尚、君は自分の責任だと。そう言うのかね?」 「はい」 ドロシーは頭を上げない。伏したまま言葉を返す。 「わたしは、ただの子供の喧嘩だと思うがね」 オーズの予想外の発言にレリオと職員達は驚いた。 「結果的にはわたしの娘が怪我をしたが、先に手を出したのはこちらだ。法で言う『正当防衛』と言うものだ。だから、頭を上げなさい」 「嫌です」 「何故」 「『正当防衛』は攻撃された場合攻撃しても罪にならないという法です。決して攻撃してもいいという法ではありません」 「…………」 「わたしはレリオットに武術を教えています。それは使い方によっては『殺人』が出来る力です。それを『自由』に使ってはならない。それを教えていませんでした。それがわたしの『罪』です。ですから、それを許して貰うまでは頭を上げることは出来ません」 頑として動かないドロシーにオーズは三度溜め息をついた。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46127人が本棚に入れています
本棚に追加