番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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それだけを言い残して男は去っていく。カーシーは肩をすくめる。苦笑いを浮かべながら。 「目の敵にされてるな」 「そういうこともあるよ。みんな仲良くなんてことわたしは言わないしね」 「……『対策』されて、勝てんのかよ」 うーん、と考えながら一言。 「『対策』されたからって言って手を変えられる程わたしは器用じゃないし、いざとなったら『本気』でやるから大丈夫」 そう言うドロシーは相変わらず笑顔なのだった。 * 観客席に座ったレリオ達は魔法格闘大会が始まるのを待っていた。 学生の催し物だと言うのに熱気はすごいことになっていた。 世界政府が見学しているというのが大きいのかもしれない。 慣れない司会だからか、学生の声は若干高くなっている。 しかし、その学生の緊張した声で大会は始まった。 「さぁ、まずは第一試合!最初と言うことでいきなり珍しいカードだ!」 実況もつけてくれているらしい。学校側の力の入れようが良く分かる。
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