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その言葉を聞いてガランはニヤリと笑う。
「だったら、見せて貰おうじゃねぇか。『鬼族娘』の底力をよ」
視線を戻すとトットが魔力の腕を大きく広げてドロシーをスミへと追い詰めていた。
その様子を見てレリオは大きく息を吸う。
「姉ちゃん、勝てぇ!」
応援。愚直なまでの応援。観客が五月蝿い中、その声が届いたかどうかは分からないが、ドロシーは確かにふてぶてしく笑っていた。
「追い詰められているのに、何を笑っているんですか?」
「わたしはお姉ちゃんだから」
「は?」
「レリオくんの期待は、裏切れないんだよ」
ドロシーは大きく深呼吸。そして、魔法が紡がれる。
「『桜花―蕾―』」
淡く、儚く。その髪の色のように。ドロシーの身体が桜色の魔力の光に包まれた。
「そんなもの!」
鋼の腕による振り下ろし。ドロシーはトットの攻撃を初めて避けなかった。
後ろ回し蹴りで張り合う。威力は何故か互角だった。
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