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「『一分咲』」
トットはすかさず『柔』の手を振り抜く。ドロシーはそれも避けずに右拳で迎撃。
するとドロシーの右拳が『柔』にめり込んだ。トットは勝利を確信する。
『柔』は簡単に言えばとり餅のようなもの。一度捕まえてしまえばリーチの関係上、ドロシーの攻撃はトットには届かない。
後は硬い『鋼』を何度も叩き付ければいい。ドロシーは避けられない。迎撃出来ると言っても生身に当たる。限界は必ずある。
『鋼』の攻撃。ドロシーは足で迎撃。
「『三分咲』」
何度も、何度も叩き付けられる。そしてその度に、ドロシーの迎撃の威力が上がっていく。
「馬鹿、な………!」
ついにトットは後方まで自身の腕を弾き飛ばされた。
「『七分咲―醍醐―』」
ドロシーの桜色の光が『柔』に取り込まれている右腕に集中する。瞬間、トットの身体が浮く。
否。持ち上げられる。男一人と『魔手』二本の重量をドロシーは右腕一本で支えてみせた。
いくら『鬼族』は怪力といっても、これは常軌を逸している。
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