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「遅ぇな、レリオ」
「どうかしたのでしょうか?」
控室にて暫くドロシーと話したカーシーとリクは違和感に気が付いていた。
「観客席に戻ったんじゃない?」
「いや、それはねぇだろ。あいつお前のこと大好きだし。何だかんだ言っても来るはず」
「カーシーさん。念のため探しに行きましょう。まだ決勝までは時間がありますので。このままでは見逃してしまうかもしれません」
「そうだな……ドリー、レリオが来たら連絡頼むわ」
「分かったー」
ドロシーは手をヒラヒラと振って二人を送り出す。一人になるとドロシーはふぅ、と息を吐き出した。
今までドロシーはこういう大会を避けていた。自身の力は自身を守る為にあるという矜持があったからだ。
しかし、レリオに頼まれて出た大会で気付いた。自分はこの大会を楽しんでいると。
『鬼族』は好戦的な種族。昔からそう語り継がれているがドロシーも例外では無かったらしい。
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