番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

68/105
前へ
/1704ページ
次へ
* 「遅ぇな、レリオ」 「どうかしたのでしょうか?」 控室にて暫くドロシーと話したカーシーとリクは違和感に気が付いていた。 「観客席に戻ったんじゃない?」 「いや、それはねぇだろ。あいつお前のこと大好きだし。何だかんだ言っても来るはず」 「カーシーさん。念のため探しに行きましょう。まだ決勝までは時間がありますので。このままでは見逃してしまうかもしれません」 「そうだな……ドリー、レリオが来たら連絡頼むわ」 「分かったー」 ドロシーは手をヒラヒラと振って二人を送り出す。一人になるとドロシーはふぅ、と息を吐き出した。 今までドロシーはこういう大会を避けていた。自身の力は自身を守る為にあるという矜持があったからだ。 しかし、レリオに頼まれて出た大会で気付いた。自分はこの大会を楽しんでいると。 『鬼族』は好戦的な種族。昔からそう語り継がれているがドロシーも例外では無かったらしい。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46127人が本棚に入れています
本棚に追加