番外編・勇気の無い獅子と桜髪の魔法使い

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レリオはトットを睨み付ける。 「てめぇは赤の他人から理不尽な暴力を受けたことがあるか?」 「何?」 「満足にメシを食えなかったことは?真冬に川で身体を洗ったことは?親に捨てられたことはあんのかよ。オレは、全部あるぞ」 「……………」 「耐え難い苦痛を覚えてきた。今更、オレは死ぬことに何の恐怖も感じない」 「てめぇ……!」 「泥水飲んでから出直してこい、ゲス野郎」 「嘗めた口を、叩くなぁ!!」 トットは腕を振り上げた。死ぬ。レリオはそう確信した。だが。 「お腹!!」 ドロシーの大声がその行動を止めさせた。 「ヘソの少し上の辺り。そこが、わたしの『弱点』だよ」 トットはそれを聞いてニヤリと笑った。攻撃を止める。 「素直で感心した。ドロシーに感謝するんだな」 「姉ちゃん、何で……!」 レリオの絶望した顔にドロシーは微笑んで答えた。 「確かに、レリオくんを見捨てればわたしは生き残れる。でも、それをしちゃったら、それはもうわたしじゃない」
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