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レリオは掌をトットに向ける。それは『サーバット』には無い構え。
この構えはどの武術にも当てはまらない。これは、
「『稲光』」
『魔砲士』の構えである。
「う、おおぉぉ!!?」
直感でヤバいと判断したトットはすぐさま横に避けていた。
直線的な軌道を描いたレリオのそれは狙いを外し木製の床に着弾する。
床が焦げ付き燃え上がる。魔力の無い物体に干渉する魔法。最早疑う余地は無かった。
「『異端強者』……!『炎』はフリカ、『雷』か!?」
再び飛んでくる『稲光』をかわすトット。レリオが舌打ちする。
「んだよ。真っ直ぐにしか飛ばねぇのか。使えねぇな」
自分の力にまだ慣れていないので、イライラした顔でレリオはトットに向き合う。
トットの頭の中には二つの選択肢があった。
一つは逃げる。暴走した『異端』に会ったら逃げろ。これは全世界の共通認識である。
少なくとも、人が居る場所まで逃げ切れば生き残れる公算は高い。
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