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レリオが重心を落とす。トットもカウンターを取れるように構えた。そして、
「………は?」
トットは呆けざるを得なかった。理由は二つ。
まばたきもしていないのにレリオが視界から消えたこと。
そして、トットの後ろで何かが衝突したような音が聞こえたこと。
トットは恐る恐る振り返った。
「『四歩』だと多いか。ったく魔法ってのはうぜぇな」
そこに居たのは右腕が変な方向に曲がっているレリオだった。
トットは何が起きたのか理解する。
レリオはトットが知覚出来ない程の速さで真横を走り抜けて勢い余って壁に激突したのだ。
火事場の馬鹿力と言う物がある。命の危機に瀕した時、リミッターを外すことで身を犠牲にして得られる莫大な力。
後に出会うことになる『鬼の異端強者』、チフユ・カヤマは任意でそのリミッターを外すことが出来るがレリオのそれはもっと雑。
身体に流れる電気信号を弄って使っているので身体への負担は計り知れない。
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