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再びレリオの視線がトットに向く。トットの顔からは血の気が引いていた。
「く、来るな、化け物!」
レリオは止まらない。トットの頭を蹴り飛ばすつもりで迫る。
「バカ鬼!何やってんだ、こいつを止めろ!お前は、オレの奴隷だろうが!」
苦し紛れにそんなことをほざくトットにレリオは心底呆れた。
こんな奴、生きる価値が無いと。断言出来る。
「『桜花』」
しかし、レリオの耳に信じがたい言葉が飛び込んで来た。
レリオは振り向く。そこには、桜色の光を纏った桜髪の魔法使いが立っていた。
「……何っでだよ!」
「ごめんね……」
レリオの言葉にドロシーは答えない。ただ、いつもの顔を見せる。身体を汚されても、ボロボロになっても。
「最期だから、許して、ね?」
その会った時から変わらぬ笑った顔を。
「『桜花・狂い咲き』『満開―薄墨―』」
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