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「何見てんだテメー、殺すぞ」
中学時代のドロシーは口調が悪かった。
まだ幼い頃、力のコントロールが出来なかったドロシーは友人に大怪我をさせてしまった。
『鬼族』としては珍しくも無い事件。特徴的な髪の色から噂は広がり、ドロシーは一人ぼっちになった。
自身の力を完全にコントロール出来るようになる。それまでドロシーは他人との接触を断った。
先行する噂と口の悪さ。その二つのおかげでドロシーに近付く者は誰も居なかった。
そして、その状況はドロシーが力をコントロール出来るようになってからも続いた。
覆せなかった。根深く張った虚を、薄っぺらい現実では。
「ロッパに留学しなさい。お金は心配しなくていい」
親にそう言われたのは環境を変える為だった。ドロシーは迷い無くそれを承諾した。
それからドロシーはファッションを覚えた。流行を勉強した。友達を増やせるように。
しかし、そこでドロシーは重大な事実に気が付く。
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