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嬉しかった。自分が変わったことが。
驚いた。自分が変えられたことに。
自覚無く、人を変えるというならそれはやはり才能なのだろう。
レリオット・ハイエースは特別な人間。ドロシーはそう認識せざるを得なかった。
だから、ドロシーはレリオが『異端』として覚醒した時も然程驚かなかった。寧ろ、納得したぐらいである。
だから、死なせてはいけない。自分の為に、レリオに殺人をさせてはならない。
それが、仮初めとはいえど姉としての責務なのだから。
ドロシーは胸中で謝罪する。
カーシーくん。後を任せてごめんね。
リッキーちゃん。別れも言えずにごめんね。
そしてレリオくん。わたしの人生に、色をつけてくれて有り難う。
ドロシーは紡ぐ。明日へ繋げる希望の魔法を。
ドロシーは紡ぐ。明日を迎えられない破滅の魔法を。
淡く儚く桜のように、美しく咲き乱れ静かに散る。
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