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「……あーあ、時間切れ、か」
ドロシーも『桜花』の魔法が解けていた。
「何が時間切れだよ。オレの負けじゃねーか」
最早起き上がれもしないレリオが悪態をつく。その言葉遣いは、いつものレリオだった。
「わたしは、お姉ちゃんだから、負け、るわけにはいかな、いよ」
「なぁ、姉ちゃん。そんなにオレが、人殺しになるのが嫌か?」
その言葉の返答には、少しだけ時間がかかった。
「嫌じゃないよ」
意外な返事だった。
「レリオくんが決めたことなら、わたしは何も口出ししない」
「…………」
「でもね、どんなになっても、わたしは君に生きてて欲しい」
世界政府による処刑。ドロシーはその道だけを綺麗に潰した。
「傲慢だ」
「わたしは、レリオく、んの、お姉ちゃん、だから」
「……わーったよ」
少し呆れた声で言う。ここでようやく、レリオはトットを殺すことを諦めた。
「次はぜってー負けねぇからな。覚悟してろよ」
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