銃王姫と二丁拳銃

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心が軋んでいることが分かる。壊れそうになっていることが分かる。 全てはリースの掌の上だったのだ。 二年前、シモンがニーナにライバルの存在を示唆したその時から。 勝手に期待して、勝手に支えにして、勝手に理想を押し付け、勝手に疑い、勝手に裏切られた。 ニーナに湧いてくる感情は罪の責任と孤独感。 今までニーナが頑張ってこれたのはリースとの仲間意識が大きい。 それは全て嘘だった。何故お前がという死ぬ直前の標的の顔がフラッシュバックする。 押し潰される。孤高の隼が地に落ちる。茫然自失。 そんな状態の、触れれば壊れてしまいそうな弱った隼に声をかけたのは、 「おやおや、ニーナさん。昨日より素晴らしい目になっていますねぇ」 醜く、卑劣で、狡猾な『異端強者』だった。 何故こんなところに。見張りはどうした。話しかけるな。 心の中ではそんな言葉が出てくるが、弱った隼にそれを表に出す力は無かった。
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