銃王姫と二丁拳銃

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心に穴が空いたニーナはテスターの言葉を丸々受け入れる。 「正直者は馬鹿を見る。善人は損をする。当たり前です。だってそれは『正義』じゃないんですから」 「………そう、かもね」 「そうです。だからニーナさん。僕と同じ道を歩みなさい。僕こそが悪意。だからこそ、僕は正しい」 テスターが手を伸ばす。『魔眼』でなくとも分かる。感覚で。魔法をかけられようとしている。 手を掴んだら何かされる。そう分かってはいるものの掴もうとしている自分がいる。もうどうなってもいいかも、と思ってしまっている。 ニーナはゆっくりと手を伸ばす。テスターがふっと笑ったのが聞こえた。 ニーナは顔を上げる。そこで、見てしまった。 テスターの馬鹿にするような目を。 その目で不覚にも思い出した。二人の存在を。 一人はウェイン。いつも馬鹿にしながら支えてくれた男性。 一人はサルフ。目の敵にしながら故にニーナを良く見てくれた男性。
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