銃王姫と二丁拳銃

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「わたしはやっぱり、君が嫌い」 ニーナは出した手を引っ込めた。 「おや?」 「君の言ってることは正しいかもね。でもわたしは、それを世界の全てだとは思わない」 ニーナは立ち上がる。自力で。 「悪意が強くても、悪意が正しくても、わたしは悪人にはなりたくない」 「……その道は厳しいですよ?弱者は、失うものです」 「それでもわたしは失ってない。わたしがなくしたのはただ自分で作った砂の城だけ」 ニーナは立ち向かう。強固な二つの支えを使って。 空想なんかじゃない。妄想なんかじゃない。現実で作り上げてきた確かな支え。 「たとえ蕀の道でも、撃ち殺して進んでやる。わたしは、孤高の隼なんかじゃない!」 ニーナはテスターを睨み付ける。テスターはにっこりと笑って手を叩いた。 「流石はニーナさん。素晴らしい。この数分で昨日の醜い目を取り戻すとは!伊達に『銃王姫』と名乗ってないですねぇ」 テスターはククッと意味深に笑った。
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