銃王姫と二丁拳銃

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「サルフ!」 ニーナはサルフに駆け寄る。無駄だと分かっているのに止められない。 脈を取る。無い。当然だ。頭にも弾丸が撃ち込まれている。即死だったのだろう。 「畜生……」 ニーナが動けない中、ウェインはそう呟く。その言い方が妙だったのでニーナは振り向いた。 ウェインは持っていた拳銃の銃口を自分のこめかみに押し付けていた。 撃鉄は上がっていてあとは引き金を引くだけ。ウェインの表情は苦しいような悔しいような、そんな表情だった。 「ニーナ、すまねぇ……」 「待っ……!」 ニーナが静止の言葉をかける前に、乾いた発砲音が工房に響いた。 銃弾がウェインの頭を貫通する。糸が切れた人形のように倒れるウェイン。 「ああ……」 誰がどう見ても即死。それでもニーナは脈を取る。確実に死んでいた。 「あああぁぁ」 呆然とした声を漏らすニーナ。びっくりした脳がその間に事実を確かめる。そして、それを完全に理解した時。 「あああ……あはは」 ニーナが笑った。 「あははははっ!あーっはっはははは!」
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