銃王姫と二丁拳銃

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フロウは更にニーナの肩に腕を回した。 「だから暇潰しになる程度に、一応体として身の上話でもしてくれると個人的に助かるんだけど」 ニーナにとっては初めてだった。最初から諦められた上で話を聞かれるというのは。 だからかもしれない。ニーナは比較的楽に先日の出来事を話し始めた。 「なるほど。それは中々に興味深い話だね」 フロウは最後まで聞いてくれた。時折相槌をうって話しやすくさせながら。 「この世には善意と悪意しかない。悪意の方が正しいのなら、わたしはそっちに進みたい」 「へぇ」 フロウが意味深に頷く。そして話を変えた。 「ニーナちゃん。僕は君が嫌いじゃない。何故だか分かるかい?」 「分かるわけないじゃん」 「だよね。それはね、君がその目をしているからだ」 フロウがニーナに顔を近付ける。目と目が近い。 「何処か達観していて、大事な何かを無くし、世界を諦めてる、死んでしまった星のような醜く虚しい目だ」
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