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(ミナツ。絶対負けんな。最初から全力で行け)
中からチフユが話しかけてくる。
(別に悪い女の子じゃないぞ?)
(オレは嫌いなんだよ)
(何故?)
(上手く言えねぇ。ただ近付いたら大事な何かを失う気がする)
チフユの直感はミナツの第六感に通じる。馬鹿に出来ない感覚だ。ここは警戒するにこしたことはない。
「どうしたの?ぽけーとしちゃって」
「ん?ああ、すまん。特権の件だが受けよう。わたしが勝ったら……」
ミナツは少し考えて、言う。
「明日もわたしと遊んでくれ」
ニーナは一瞬、へ?という顔になったがすぐに笑った。
「いいよ、それで。じゃあ早速」
ニーナがコインを取り出す。それを空中に高く弾いた。
あれが落ちたら模擬戦開始だと理解したミナツは刀に手を伸ばす。
(最初から全力だぞ。出し惜しみするな。『先見』も使え、『先見』も)
(必死すぎるだろ、フユ姉…)
ミナツは溜め息をついて、気を引き締めた。そしてコインの着地とほぼ同時に一歩踏み出し、
ミナツの頭は着弾の衝撃で後ろに反り返った。
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