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「何も知らねぇよ。だが、このくらいは想像出来る範疇だろ?」
「では聞き方を変えよう。何が目的だ?」
「目的、ねぇ」
ライは含みのある笑いを見せる。
「んなもん一つに決まってんだろ。金だ。オレは切実に金が欲しい」
「つまり、協力するから金を寄越せと言いたいのか?」
「そういうこと」
シモンは少しだけ考えた。
「悪いがそれは出来ない」
想定の範囲内の返答だった。
「言い方は悪いがどこの馬の骨とも分からん連中に頼むほど、世界政府は人材に困っていない」
ここでライがジアでの身分を明かせばシモンは全てを話さざるを得ないだろう。
しかし、それはこれからの行動を少なからず制限することになる。
まだ踏み込めるには踏み込める。だがこれ以上リスクを上げるのは得策ではない。
「けち」
「当然の判断だ」
ライは踏み込んだ足を引っ込めた。今はこの町に大犯罪者がいる、そしてそれがまだ見つかっていないということが分かっただけで十分。
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