続・飛翔の町

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「随分と腕に自信があるようだな」 「一応、ジアの闘技場で慣らしたからな。場慣れはしてる」 今度はシモンが踏み込んできた。ライのような秘密がない以上、シモンの方が駆け引きがしやすい。 「あの女子らもか?」 「チフユとナツは腐れ縁。セリスとは闘技場で会った」 ノータイムで嘘をバラまいていく。その辺は手慣れている。 「全員が『鬼族』だからな。特殊な繋がりがあるかと思った」 「それはオレも聞きたい。ジアのお姫様もオレのファンらしいから近々もう一人増えるかもな」 「………思ったより軽いな、お前」 「そりゃ男だからな。自分の欲望に正直に生きたいんだよ。まぁ、正直すぎると殺られかねないが」 「……刺されろ」 自然にフィアを引き合いに出してシモンに楔を打った。これでシモンはこれ以上踏み込めない。 歳を重ねているが故に少しでも国際問題になることには手を出しずらい。 ライはほっと心の中で胸を撫で下ろしつつ、その後は世間話で場を繋ぎ、今回の駆け引きに勝利した。
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