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仕方無く連れていく。オーヴィルの知り合いの職人は女がどうとか怒るような人間は居なかった。が。
「オーヴィルの女かぁ?もう唾つけたの?」
「お嬢ちゃん、今夜オレと一緒に過ごさないかい?」
「胸ちいせぇなぁ、まだケツも青いんじゃねぇの?」
とにかく下品だ。配慮が一切ない。
職人の世界は男の世界。故に女が入り込むにはそれに動揺しない鋼の精神力がいる。
女に、その度胸は無かった。下ネタを振られる度に激怒し帰ってしまった。
しかし、また来るのだ。今日こそは最後まで居続けてやると気合いを入れてやってくる。
女が居続けられたのは、それから1ヶ月後のことだった。
その頃には女は職人を評価していた。口は悪かろうが、態度は酷かろうが、仕事に対しては真面目でその手がどれだけ素晴らしい物を作り出しているのかを。
職人達も評価していた。どれだけ貶されようが最後まで自分達を見て理解しようとしたその姿勢を。
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