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いつしか女は職人の仕事を手伝うようになり、職人もまたそれを嫌がる素振りを見せなかった。
そんな時、職場に怒鳴り混んできた中年の男が居た。
どうやら女の父親のようで女がこんな汚い場所に出向いているのが気に食わないらしい。
服を見るからに富裕層の人間に見える。汚い、臭いの職人を見下していた。
腹は立ったが男の言っていることは間違いではない。この世界はそういう一面を否定出来ない。
そんな空気の中、動いたのは女だった。思いっきり男の頬を引っ叩いた。
娘に叩かれたのは初めてだったのか男が目を見開く。
「この人達のこと何も知らない癖に失礼なこと言わないで」
先日の自分の発言を取られたかのようでオーヴィルは少し恥ずかしかった。
そこからはもう大喧嘩。ことが終わった頃には職人達は全員大笑いしていた。
「もう勝手にしろ!」
その言葉を女は父親から引き出すことに成功し、オーヴィルにだけ見えるようにVサインを出していた。
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